新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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OSOHOOH1図3■1メチオニンからシスチンへの代謝経路3シスチン尿症SSH2NH2Nる. 本症ではシスチンの再吸収障害により尿路内にシスチン結石が形成される.シスチンは酸性尿には溶けにくく,溶解度を超えると結晶が析出し,結石が形成され,血尿,腹痛,腰背部痛,尿路感染症状を呈する5).乳児期は無症状で,通常10〜30歳で発現し,尿路閉塞により腎不全をきたすことがある6).診断は尿中シスチン排泄量の測定による.尿路結石の家族歴があり,30歳未満の発症で再発性の場合は疑いが濃厚である.治療は水分摂取と尿アルカリ化が基本であるが,結石を形成した症例では薬物療法や外科的治療も行われる.病型によりヘテロ接合体では尿中シスチン排泄が高値となることはあるが,結石形成に至るのはまれである. 二塩基性アミノ酸(リシン,アルギニン,オルニチン)の再吸収も障害されるが,これらのアミH3CMethionine(essential)CysteineOHNH2含硫アミノ酸代謝経路HomocysteinOHSH(S-S統合で2量体形成)酸化CystineOHNH2OH疾患概要シスチン尿症は腎尿細管と消化管上皮のシスチンおよび二塩基性アミノ酸(リシン,アルギニン,オルニチン)の再吸収障害であり遺伝性のアミノ酸トランスポーター異常症である.従来はヘテロ接合体の保因者におけるシスチンおよび二塩基性アミノ酸の排泄レベル,すなわちシスチン輸送系と二塩基性アミノ酸輸送系の障害の程度によりⅠ〜Ⅲ型に分類されてきた1).Ⅰ型は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)するが,Ⅱ,Ⅲ型は不完全な常染色体顕性遺伝(優性遺伝)し,保因者でもアミノ酸尿を認める.原因遺伝子の解析の結果,Ⅰ型では2番染色体長腕に存在する■■■■■■(rBAT,heavy subunit)が責任遺伝子であることが判明した2).またⅡおよびⅢ型では■■■■■■(b(0,+)AT,light subunit)が同定された3,4).その結果,2つの病因遺伝子に基づいた新たな病型分類(A型,B型,AB型)が一般的になってい

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