新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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表4■1(nmol⊘L)144~800114~336105~29988~17874~16366~141(nmol⊘L)新生児15~3520~70300~1000295~932211~871144~801133~551115~488(nM)(nM)5⊖HIAA(ng⊘mL)(ng⊘mL)57.3~191.226.4~146.556.4~178.220.9~61.540.3~166.519.2~54.827.3~153.116.1~32.625.4~105.313.6~29.922.0~93.312.1~25.8N:ネオプテリン,B:ビオプテリン,HVA:ホモバニリン酸,5⊖HIAA:5⊖ヒドロキシインドール酢酸〔Blau N, et al.:Disorders of Phenylalanine and Tetrahydrobiopterin Metabolism. In:Blau N, et al., eds.:Physicianʼs Guide to the Diagnosis, Treatment, and Follow⊖Up ofInherited Metabolic Diseases. Springer⊖Verlag, 2014:3⊖21を基に作成〕5⊖HIAA1か月~1歳12~3015~402~4歳9~2010~305~10歳9~2010~3011~16歳9~2010~3017歳以上9~2010~30 髄液中のプテリジン分析―ホモバニリン酸(HVA)と5⊖ヒドロキシインドール酢酸(5⊖HIAA)の正常範囲❸ 運動❶ 食事療法を含めた治療の継続が知られているが,正常であっても除外はできない(正常上限以上)である(表4■1)11).③ 赤血球ではなく培養皮膚線維芽細胞でSR活性の低下を明らかにする**.3 鑑別診断BH4欠損症,瀬川病,若年性Parkinson病,芳香族L■アミノ酸脱炭酸酵素欠損症.4 遺伝学的検査 SR欠損症の原因遺伝子と考えられている■■■ 新生児マススクリーニング(NBS)で疑われる1 食事療法 特異的な食事療法はない.ドロキシトリプトファン(5■HTP)補充療法が必要である.BH4は血液脳関門を通らないため,BH4の投与は中枢神経症状には無効である.運動症状には脱炭酸酵素阻害薬を含むL■ドパが著効を呈し,球症状,眼症状,振戦は完全に消失する.全例で歩行は可能となるが,歩行パターンは改善しない.これは,移動運動(ロコモーション)の障害の存在を示す.しかし,振戦,ジストニアは軽度であるが残り,また症例によっては振戦が出現したり,治療前に振戦をみた症例ではL■ドパ投与後に書痙を示した例がある.また,2歳時に筋緊張低下,軽度認知機能の低下で発症,6歳で車いす使用となり,14歳でジストニアが発現した症例では,14歳時のL■ドパと5■HTPが劇的効果を示したことが報告されている. これらの薬物はいずれも1日3〜4分割して内服1 一般的評価と栄養学的評価 めやすとして3か月ごとに血液一般検査,血液生化学検査(血中プロラクチン,カテコールアミンを含む)を行う.神経伝達物質の補充量の過不足は血液生化学検査では評価は困難であり,精神運動発達障害,気分障害などの臨床所見の有無を確認しながら,適宜,髄液中プテリジン分析,HVA,5■HIAA値の測定をする.年齢別の髄液中生涯にわたり,上記薬物療法継続が必要である.特に成人期になり,独立した生活を営む場合に,L■ドパの怠薬により,無動・寡動が起こり,生命の危険性があるため,見守りなど何らかの安全策が必要となる.❷ 飲酒一般的に神経症状に影響を与えるので推奨はできない.させるが,投与量・投与時刻は症例により様々で,臨床症状,体液中カテコールアミン,セロトニンおよびそれらの代謝産物の濃度(髄液中HVA,5■HIAA)により適宜変更する必要がある.具体的なL■ドパと5■HTPの投与方法は,初期投与量は0.5〜1 mg/kgと少量から開始し,10mg/kgを目標に徐々に増量する.5■HTPの投与量はL■ドパよりも少量で充足することが多い12).3 Sick dayの対応 発熱や薬物療法の内服が困難な場合は,L■ドパの不足による症状の出現に注意が必要.4 移植医療 移植医療の適応はない.HVA,5■HIAA値の正常値(表4■1)の下限以上に保つことを目標にする.2 神経学的評価 定期的な知能発達検査(乳幼児では新版K式,学童以降はWISC■Ⅳが推奨されるが,津守・稲毛式や遠城寺式など簡易な検査でも代用可)を行う.また,適宜,脳波検査と脳の画像検査を行うことが望ましい.基本的に運動制限は不要であり,通常の日常生活に支障が出ることはまれであると思われる.ロコモーションの障害が進行している場合には,身体機能の維持のための理学療法が推奨される.❹ 妊娠・出産妊娠,出産に関する本疾患におけるリスクに関する報告はない.本疾患は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式の疾患であり,必要に応じて遺伝カHVANB45HVA年齢4 セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症の遺伝子解析を行い,2つのアレルに病因となる変異が同定されること*.5 診断基準❶ 疑診1.のうち1項目以上かつ2.のうち1項目以上を満たし,3.の鑑別すべき疾患を除外したもの.❷ 確定診断1.のうち1項目以上かつ2.のうち1項目以上を満たし,3.の鑑別すべき疾患を除外し,4.を満たすもの.ことはない.ある.2 薬物療法 SR欠損ではドパミンを含むカテーコルアミン類やセロトニンの低下が示唆されるため,治療には神経伝達物質の前駆物質であるL■ドパと5■ヒ新生児マススクリーニング(NBS)で疑われた場合急性発作で発症した場合の診療 ジストニアやOGCが長時間持続する可能性が慢性期の管理フォローアップ指針成人期の課題

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