表5■2表5■1表5■3図5■1モノアミン代謝とAADC欠損症における異常部位3—OMD：3—O—メチルドパ，VMA：バニリルマンデル酸，HVA：ホモバニリン酸，MHPG：3—methoxy—4—hydroxyphenyl-glycol，5—HIAA：5—ヒドロキシインドール酢酸〔加藤光広：AADC欠損症の臨床像と病態生理．In：新宅治夫，他：小児神経伝達物質病の診断基準の作成と患者数の実態調査に関する研究報告書（平成21年度総括・分担研究報告書）．厚生労働科学研究補助金難治性疾患克服研究事業 症例研究分野（研究代表者 新宅治夫）．2010：15—16を基に作成〕 芳香族L⊖アミノ酸脱炭酸酵素（AADC）欠損症の不随意運動 芳香族L⊖アミノ酸脱炭酸酵素（AADC）の主要徴候 芳香族L⊖アミノ酸脱炭酸酵素（AADC）欠損症の自律神経症状患者が診断を受けている．1 臨床病型 症状および重症度は，患者ごとに異なる．Was-senbergらは，コンセンサスガイドラインにおいて，全介助が必要な場合を重症型（80%），精神遅滞が軽度で独歩可能な場合を軽症型（5%），その中間を中間型（15%）と分類している7）．2 主要症状および臨床所見 典型例では，6か月以内に間欠的なOGCと四肢のジストニアで発症し，精神運動発達は遅滞する．そのほかに頻度の高い症状としては，随意運動の障害，易刺激性，ocular convergence spasm，口腔顔面ジストニア，ミオクローヌスなどがある（表5■1）2）． 診察では，筋緊張の低下と，Babinski反射は陰性化しているが，深部腱反射の亢進が認められる．患者の多くは，寝たきりで発語のない状態であるが，筋緊張低下と眼瞼下垂を主症状として独歩と会話が可能な症例や，運動障害を伴わず自律神経症状のみを呈する症例も報告されている8）． AADC欠損症では，ドパミン産生が低下するため，線条体の機能不全はジストニアと随意運動の障害の原因となる（表5■2）2）． 末■のカテコールアミン不足は，突発的な発汗，鼻閉，息止め，便秘や下痢，眼瞼下垂などの自律神経症状を引き起こす（表5■3）2）．また，低血糖による意識障害やけいれんを起こすことがある．アドレナリンの低下は低血糖を引き起こし，前頭前野の機能不全が精神遅滞症状の原因の一つとなっていると考えられる．セロトニンの不足は，睡眠障害を引き起こす．これは，睡眠ホルモンであるメラトニンがセロトニンから合成されるため，本疾患でのメラトニン合成障害が理由と推測される（表5■1）2）．1 血中プロラクチンの上昇 ドパミンの合成障害で上昇するとされ，AADC欠損症患者の約半数で上昇したとの報告がある7）．プロラクチン値は年齢別基準値にて判断する9）．ただし，プロラクチンが正常であることはAADC欠損症を除外するものではない．2 頭部MRI 24%の症例で脳萎縮，白質変性，脳梁の菲薄化，髄■化の遅延などの所見を示した3）．AADC欠損症の多くでは頭部MRIは正常であるが，他の疾患運動障害眼球回転発作（OGC）自律神経障害他の不随意運動不快気分・精神不安感睡眠障害62%日内変動・睡眠後の改善54%〔加藤光広：AADC欠損症の臨床像と病態生理．In：新宅治夫，他：小児神経伝達物質病の診断基準の作成と患者数の実態調査に関する研究報告書（平成21年度総括・分担研究報告書）．厚生労働科学研究補助金難治性疾患克服研究事業 症例研究分野（研究代表者 新宅治夫）．2010：15—16を基に作成〕100%100%92%69%69%・ジストニア▶眼球回転発作（OGC）▶四肢ジストニア▶刺激誘発ジストニア▶頭頸部ジストニア▶ミオクローヌス⊘顕著な驚愕・遠位舞踏病・Parkinson症状・舞踏アテトーゼ⊘アテトーゼ・屈曲スパズム・振戦・頭部前屈・気分不快感・精神不安感・体温調節障害・鼻閉・唾液分泌過多・眼瞼下垂・瞳孔変化・低血圧・徐脈・四肢末端循環障害・腸管蠕動障害・呼吸異常5 芳香族L—アミノ酸脱炭酸酵素（AADC）欠損症高頻度低頻度〔加藤光広：AADC欠損症の臨床像と病態生理．In：新宅治夫，他：小児神経伝達物質病の診断基準の作成と患者数の実態調査に関する研究報告書（平成21年度総括・分担研究報告書）．厚生労働科学研究補助金難治性疾患克服研究事業 症例研究分野（研究代表者 新宅治夫）．2010：15—16を基に作成〕高頻度低頻度〔加藤光広：AADC欠損症の臨床像と病態生理．In：新宅治夫，他：小児神経伝達物質病の診断基準の作成と患者数の実態調査に関する研究報告書（平成21年度総括・分担研究報告書）．厚生労働科学研究補助金難治性疾患克服研究事業 症例研究分野（研究代表者 新宅治夫）．2010：15—16を基に作成〕23トリプトファン5－ヒドロキシトリプトファンN－アセチルセトロニンメラトニン（Trp）トリプトファン水酸化酵素（5－HTP）芳香族アミノ酸脱炭酸酵素（AADC）セロトニン（5HT）5HIAAフェニルアラニン（Phe）フェニルアラニン水酸化酵素（PAH）チロシン（Tyr）チロシン水酸化酵素（TH）L－ドパドパミンノルアドレナリンアドレナリン3－OMDVMAHVAMHPG診断の基準参考となる検査所見
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