新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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▶GTPシクロヒドロラーゼⅠ(GTPCH)欠損症▶ 6—ピルボイルテトラヒドロプテリン合成酵素(PTPS)欠損症▶ジヒドロプテリジン還元酵素(DHPR)欠損症▶ プテリン—4α—カルビノールアミン脱水酵素(PCD)欠損症表5■4芳香族L⊖アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症の鑑別疾患・脳性麻痺・瀬川病・若年性Parkinson病・セピアプテリン還元酵素(SR)欠損症・ コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(SSADH)・ グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症との鑑別するうえで参考となる.3 PET・SPECT検査 ドパミン合成障害を反映して,18F■dopa PET検査で線条体への取り込みが消失する10,11).TRO-DAT■1 SPECT検査では線条体への結合が確認 AADC欠損症では,およそ半数に哺乳障害,低体温,低血糖などの新生児期の異常の既往を認めることが特徴の一つである.このような症例では,ジストニアや脳性麻痺との鑑別のため,髄液検査と血漿中酵素活性の測定を行う.1 髄液検査 AADCの基質(L■ドパおよび5■HTP)とその代謝産物である3■OMDの髄液中濃度が上昇し,生成物のモノアミンとセロトニンの代謝産物であ AADC欠損症は,てんかんの合併頻度は高くないが脳波異常を伴う症例もあり,その場合は,ジストニアの診断が遅れることもある.また,脳性麻痺との鑑別が困難な場合もあり,正しく診断を受けていない症例も多いと考えられる.このため,AADC欠損を疑って髄液の検査や血漿中の酵1 臨床症状① 新生児期より哺乳障害,低体温,低血糖などのできるなど,脳の構造,特に線状体のドパミン神経終末の構造は保たれていると考えられている.しかし,FDG■PET検査では,ドパミン神経の投射が多い,線条体と前頭前野での糖代謝低下の所見が報告されている12).るHVA,5■HIAAは著減している.2 血漿中ドパ脱炭酸酵素活性 低下または測定感度以下となる.3 遺伝子解析 遺伝子変異は30数例の報告があり,多くはミスセンス変異であるが,現在のところ,ミスセンス変異の集積傾向はない.素活性の測定をすることが,診断には重要である.しかし,AADC欠損症の患者の尿中代謝産物の排泄が,むしろ亢進しているという報告もあり,注意が必要である13). 表5■4に鑑別疾患を示した.異常を認める.② 乳児期早期からの間欠的なOGCなどの眼球運動異常と四肢ジストニアで発症する.③ 認知機能発達遅滞が認められる.2 検査所見① L■ドパおよび5■HTPとその代謝産物である3■OMDの髄液中濃度が上昇し,HVA,5■HIAAは著減(正常下限以下)している.② 血漿のAADC活性は,極めて低値である14).3 遺伝学的検査AADC遺伝子と考えられている■■■の遺伝子解析を行い両方のアレルに病因となる変異が同定 現行の新生児マススクリーニング(NBS)で疑1 食事療法 特異的な食事療法はない.されること.4 診断のカテゴリー① 疑診「1.臨床症状」のうち1項目以上+「2.検査所見」のうち1項目以上を満たし,鑑別すべき疾患を除外したもの.② 確定診断「1.臨床症状」のうち1項目以上+「2.検査所見」のうち1項目以上を満たし,鑑別すべき疾患を除外し,「3.遺伝学的検査」を満たすもの.ン,低血糖の有無,血液ガス検査,一般生化学検査.3 急性期の治療方針 バイタルサインをモニターしながら,臨床症状の原因に対しての対症療法を行う.集中治療室(ICU)での管理が必要となることもある.ジストニア発作の場合には,補液と栄養の確保,ベンゾジアゼピン系薬剤などによる鎮静を考慮する.使用を避けるべき薬剤としては,抗ドパミン,抗アドレナリン,抗セロトニン作用のある薬剤(メトクロプラミド,ハロペリドール,フェノチアジン系薬剤)である.悪心に対する薬剤が必要な場合は,オンダンセトロンは抗セロトニン作用があるため慎重投与が必要である.ドンペリドンは,少量から開始しても構わない.2 薬物療法 ドパミンアゴニスト,モノアミン酸化酵素阻害薬,補酵素であるビタミンB6などを用いた薬物治欠損症・テトラヒドロビオプテリン(BH4)欠損症5 芳香族L—アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症45新生児マススクリーニング(NBS)で疑われた場合うことはできない.急性発作で発症した場合の診療 ジストニア発作(クライシス)を起こす場合があり,長時間の筋緊張は,呼吸障害や横紋筋融解からの腎不全を引き起こすなど生命を脅かす危険性がある.また,末■のカテコールアミン不足による突発的な発汗,鼻閉,息止め,便秘や下痢,眼瞼下垂などの自律神経症状としての急性発作を引き起こす可能性がある.徐脈や痛み刺激から心停止に至った症例の報告もある15).低血糖による意識障害やけいれんが起こることがあり,鑑別が必要となる.1 確定診断 「診断基準」の項参照.2 急性期の検査 気道および循環の評価のためのバイタルサイ慢性期の管理診断の根拠となる特殊検査鑑別診断診断基準

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