新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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図6■1コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(SSADH)欠損症におけるγ⊖アミノ酪酸(GABA)の代謝〔夏目淳:SSADH欠損症の臨床像と病態生理.In:新宅治夫,他:小児神経伝達物質病の診断基準の作成と患者数の実態調査に関する研究報告書(平成21年度総括・分担研究報告書).厚生労働科学研究補助金難治性疾患克服研究事業 症例研究分野(研究代表者 新宅治夫).2010:17を基に作成〕6コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素 脳内の重要な神経伝達物質であるγ■アミノ酪酸(GABA)の代謝にかかわる酵素の欠損症で,最も頻度の高い疾患はコハク酸セミアルデヒド脱水素酵素(SSADH;EC 1.2.1.24)欠損症(MIM #271980)である.1981年,Jakobsら1)が神経学的な異常と尿中にγ■ヒドロキシ酪酸(GHB)の排泄を認める患者を発見し,先天代謝異常症の可能性を報告したのが最初で,1983年にGibsonら2)がSSADH欠損症の2例を報告した.世界では400例ほど発見されているが,わが国では2001年のIshiguroらの報告3)が最初で,これまでまだ数例しか発見されていない.常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式をとる先天代謝異常症であるが,非特異的な神経症状が多いため,実際には正確な診断を受けていない症例も存在する可能性がある.1 代謝経路 6番染色体(6q23)に存在するSSADH酵素蛋白をコードする遺伝子(■■■■■■■)の異常4,5)に起因する遺伝疾患で,常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式をとる.SSADHの先天的な欠損により,GABAの代謝産物であるコハク酸セミアルデヒド(SSA)がコハク酸に変換されないため,SSAの濃度が上昇するが,SSAはGHBに代謝され,1γ-ヒドロキシ酪酸(GHB)グルタミン酸γ-アミノ酪酸(GABA)コハク酸セミアルデヒド(SSA)GABAトランスアミナーゼ(GABA-T)コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素コハク酸(SSADH)疾患概要(SSADH)欠損症

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