新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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❸ Ⅲ型(Costeff症候群)31,32)・ 両側視神経萎:乳児期から認められる.眼振やる28).❷ Ⅱ型(Barth症候群)22)・ 心筋症:多くの症例で心不全症状が乳幼児期までに顕在化し,心内膜線維弾性変化や緻密化障害を認める23,24).乳幼児期死亡の主因の一つである.心悸亢進程度の症状しかみられない軽症例もある25,26).長年かけてゆっくりと改善する②③④⑤害23図8■1ロイシン代謝経路3⊖MGC:3⊖メチルグルタコニル⊖CoA,3⊖MGCH:メチルグルタコニル⊖CoAヒドラターゼ,HMG⊖CoA:3⊖ヒドロキシ⊖3⊖メチルグリタリル⊖CoA,3⊖HIVA:3⊖ヒドロキシイソ吉草酸,3⊖MGCA:3⊖メチルグルタコン酸,3⊖MGA:3⊖メチルグルタル酸2 主要症状および臨床所見❶ Ⅰ型(MGA1)・ 小児期に非特異的神経症状で発症する.発語の遅れ程度17)のものから急性脳症18),重度の精神運動発達遅滞7)に至る例まで報告されており,小児期における病像は一定しない.・ 代謝産物の蓄積により緩徐に進行する白質の神経変性疾患であると考えられており,成人期に認知症,小脳失調,視神経萎縮などを認めている19■21).こともあるが,ほとんどが進行性である27).・ 好中球減少(持続性,断続性,完全周期性):軽度から重度までみられ,新生児期には致死性の細菌感染が生じることもある.・ 骨格筋ミオパチー:近位筋を中心とした軽度から中程度の筋力低下を呈する.・ 低身長:多くが−2 SD以下の成長不全を呈す・ 乳児期に特徴的な顔貌として,幅広い額,丸顔,大きな耳,深くくぼんだ眼がある29).・ 認知障害の発生率が高い30).・ 発症は出生時から49歳にわたり,思春期にピークをむかえる31).1 Ⅰ型(MGA1)・ 一般採血検査,尿検査では,特異的な所見はない.・ 急性期には代謝性アシドーシス,低カルニチン血症,飢餓時の低血糖などが生じうる.・ 頭部MRI:基底核病変を認めた報告もある33).成人例で白質脳症の報告がある19■21).2 Ⅱ型(Barth症候群)・ 心臓超音波検査:拡張型心筋症,心室緻密化障・ 好中球減少:周期的に増減を繰り返すため,複数回の検査を要する.・ 骨髄検査:骨髄球の段階で成熟停止28)・ 骨格筋生検:Ⅰ線維に脂肪滴の沈着26,28)・ 低コレステロール血症,低カルニチン血症の合1 Ⅰ型(MGA1)・ アシルカルニチン分析**:3■ヒドロキシイソバレリルカルニチン(C5■OH)の上昇・ 尿中有機酸分析**:3■MGCA,3■MGA,3■斜視を伴うことがある.・ 舞踏病様運動,痙縮,失調:小児期後期から認められる.車いすの使用を要するようになる例もある.・ 一部に軽度の認知障害が認められる.❹ Ⅳ型(未分類型)1)・ 大多数は心筋症を呈している.・ 現在も疾患スペクトルは急速に拡大している.❺ Ⅴ型(DCMA症候群)10)・ 小児期に拡張型心筋症,非進行性小脳運動失調,精巣機能異常,成長障害で発症する.併の報告もある28).3 Ⅲ型(Costeff症候群)・ 一般採血検査,尿検査では,特異的な所見はない.・ 血中・髄液中の乳酸値は正常範囲である.・ 眼底検査:視神経萎縮・ 視覚誘発電位(VEP):潜時の延長・ 網膜電図(ERG):正常4 Ⅳ型(未分類型)・ 各疾患に準じる.5 Ⅴ型(DCMA症候群)・ 心臓超音波検査:拡張型心筋症・ 心電図:QT延長HIVAの著明な排泄増加・ 酵素活性測定2)**:線維芽細胞,リンパ球・ 遺伝子検査**:■■■遺伝子8 メチルグルタコン酸尿症1 臨床病型❶ 発症前型新生児マススクリーニング(NBS)や,家族内に発症者がいる場合の家族検索などで発見される無症状例を指す.❷ 急性発症型MGA1では他の有機酸代謝異常症とは異なり,新生児急性発症の報告はない. Ⅱ,Ⅳ,Ⅴ型では新生児早期からの発症がある9,10,16).❸ 慢性進行型発達遅滞や体重増加不良を契機に診断される症例を指す.分岐鎖αケト酸デヒドロゲナーゼイソバレリルCoAデヒドロゲナーゼ3-メチルクロトニルCoAカルボキシラーゼHMG-CoAシンターゼロイシン①トランスアミナーゼαケトイソカプロン酸イソバレリルCoA3-メチルクロトニルCoA3-MGC3-MGCHHMG-CoA⑦⑥アセチルCoA3-HIVA3-MGCA3-MGA3-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸HMG-CoAリアーゼアセト酢酸診断の基準参考となる検査所見診断の根拠となる特殊検査

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