新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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❸ 血液浄化療法 C4時間6時間8~10時間10時間―−67表10■2許容される食事間隔(間食含む)のめやす表10■1ミトコンドリアカクテル療法の例2 薬物療法ミトコンドリアレスキューのビタミンカクテル療法も効果がないと報告されているが,症例数がまだ少なく不明な部分が多い.二次性のカルニチン欠乏を防ぐためにカルニチン補充は有効である 重症型であれば1〜2か月に1回以上の受診を奨める. 軽症の非典型型であっても1年に数回程度の受診を奨める.1 一般的評価と栄養学的評価 B 栄養制限により体重増加不良を発症しないよう注意する.・ 身長,体重,頭囲測定・ 血液ガス分析,血糖,ケトン体,アンモニア,アルブミン,乳酸,ピルビン酸,血漿アミノ酸分析,末■血液像,一般的な血液生化学検査項目▶ 採血は食後3〜4時間で行う.▶ 検査は初期には月1回以上,状態が安定すれば最低3〜6か月に1回は行う.・ 血中アシルカルニチン分析C5,C5■OHなどのアシルカルニチンの値,および二次性カルニチン欠乏の有無についての評価.アミノ酸分析と同様の間隔で行う.・ 尿中有機酸分析:必要に応じて行う.可能性がある. バルプロ酸などのミトコンドリア機能に影響する薬剤は,好ましくないと考えられる2).3 Sick dayの対応 日常管理として,尿ケトン体測定用試験紙で健常時の尿ケトン体量を確認しておき,嘔吐時,食欲低下時,発熱時などの場合は,自宅で尿ケトン体測定用試験紙を用いて尿ケトン体量をチェックし,1+なら母乳やミルク,ブドウ糖液,ジュースなどを飲ませ,飲めなければ来院,2+以上であれば直ちに来院する,などの指標をもつことが推奨される C.4 移植医療 現時点でデータはない.2 神経学的評価 C・ 1回/年程度の発達評価や1回/年程度の頭部MRI(MRS)の評価▶ 発作が重篤であった場合は,その後確認のため頭部MRIを実施することが望ましい.軽症の非典型例において,無発作で経過していても頭部MRIで基底核病変をきたした成人例の報告もある13).・1回/年程度の聴覚検査▶ 難聴の合併を認めることがある.3 心合併症の評価 無症状であっても,少なくとも1年に1回の心臓超音波検査(心筋症発症の有無,心不全発症の有無の評価),安静時心電図検査が推奨される.異常所見がある場合は,症例に応じて適宜追加する.特に,新生児期や乳児期から生化学的な異常がある場合には,出生直後は異常がなくとも心筋症が進行することがあるため,1回/1〜2か月ごとに心機能評価を行うことが望ましい.となる場合は,ブドウ糖投与量を増やして対応する.❷ 代謝性アシドーシスの補正 Bケトン体産生が抑制されればアシドーシスは改善に向かう. 補正における最小限のガイドラインとしては以下の通りである.循環不全や呼吸不全を改善させてもpH<7.2であれば,炭酸水素ナトリウム(メイロン®)を投与する.・ メイロン®:BE×体重×0.3 mLの半量で(halfcorrect)10分以上かけて静注目標値はpH>7.2,pCO2>20 mmHg,HCO3>10 mEq/Lとし,改善を認めたら速やかに中止する.過剰投与による高ナトリウム血症で脳出血をきたした症例もあり,注意が必要である. 飢餓を防ぎ,感染症などの誘因時に,重篤なケトアシドーシス発作をきたさないようにすることが目標となる.異化亢進状態を避けることが重要であるが,有効な治療法はこれまでに報告されていない.1 食事療法 NBSで陽性の場合,確定診断のための検査を行うとともに,一般的注意として空腹を避けることが必要である.空腹時間は脂肪酸代謝異常症の原診断が確定していれば,必要とすることはほとんどない.しかし,診断が確定していない初回発作においては,代謝性アシドーシスや高アンモニア血症の改善のために血液浄化療法が行われる場合がある.持続透析の準備などで,糖質投与というケトン産生抑制の治療が遅れてしまわないように注意が必要である.❹ 人工呼吸管理等 B急性期管理に人工呼吸器管理を必要とすることがある.❺ ミトコンドリアレスキューミトコンドリア病が否定できない場合は,ミトコンドリアカクテル療法(表10■1)10)の併用も検討する.則に従う(表10■2)B.感染症,特に胃腸炎は発作を誘発するので,早期の受診とブドウ糖輸液を行う B.❶ 自然蛋白制限 Dイソロイシン制限食は疾患の進行を予防できず,神経学的予後を改善しないといわれているが2,11),症例数がまだ少なく不明な部分が多い.女性症例において,イソロイシン負荷後に尿中有機酸分析の異常が顕在化しやすいという報告がある12).ビタミンなどビタミンB1:チアミンビタミンB2:リボフラビンビタミンB12:コバラミンビタミンC:アスコルビン酸ビオチンコエンザイムQ10L⊖カルニチン(代謝救急診療ガイドライン.In:日本先天代謝異常学会 編:新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019.診断と治療社,2019:2⊖10を基に作成)静注薬ビタメジン®ビスラーゼ®ビタメジン®アスコルビン酸ビオチンエルカルチン® FF静注エルカルチン® FF100~150 mg⊘日商品名内服薬アリナミン® Fハイボン®ハイコバール®シナール®ビオチンノイキノン®100~200 mg⊘kg100~200 mg⊘kg1~10 mg⊘日500~3,000 mg⊘日5~10 mg⊘日10~50 mg⊘日投与量新生児期6か月まで1歳まで4歳未満4歳以上7歳未満安定期のめやすであり,臨床経過や患者の状況により,変更が必要な場合もある.睡眠時日中3時間4時間4時間4時間4時間10 HSD10病慢性期の管理フォローアップ指針

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