新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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図11■1肝臓内・肝外組織でのおもなケトン体の代謝経路3HD:ヒドロキシ酪酸,AcAc:アセト酪酸,AcAc—CoA:アセトアセチルCoA,Ac—CoA:アセチルCoA欠損症が疑われた症例のなかに,SCOT欠損症ヘテロ接合体(保因者)と考えられる症例が6例報告され,SCOT欠損症ヘテロ接合体(保因者)でも,ケトン体産生が著しく亢進する状況では,ケトアシドーシス状態をきたすことが明らかになった6). 本疾患における血清アシルカルニチン分析や尿有機酸分析では特異的所見はなく,本疾患を疑う場合は,酵素活性測定やイムノブロット,遺伝子解析で診断する必要がある.本疾患の典型例では持続性ケトーシス,持続的ケトン尿がみられ,診断価値があるが,すべての症例にみられる所見ではない.重篤なケトアシドーシスのため,死亡することもある疾患である.本症と診断されれば,ストレス時の早期ブドウ糖補給により重篤な発作13HBAcAc血管肝臓3HBAcAc肝外組織3HBAcAcSCOTAcAc-CoAAc-CoATCAサイクル疾患概要スクシニル■CoA:3■ケト酸CoAトランスフェラーゼ(SCOT)は,肝外組織においてケトン体をエネルギーとして利用する際に必須となる酵素である.SCOT欠損症は,感染や飢餓などの肝臓におけるケトン体産生が高まるストレス状況下で,本酵素の欠損により血中にケトン体が蓄積するためにケトアシドーシス発作をきたす疾患である1■3).そのようなストレス状態でなければ,全く無症状である. SCOT遺伝子(■■■■■)は染色体5p13.14,5)にあり,SCOT欠損症は常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)形式をとり,発症した患者の両親,兄弟などのヘテロ接合体(保因者)では重篤なケトアシドーシス発作をきたさないとされていた.しかし,近年,重篤なケトアシドーシス発作をきたしSCOTフェラーゼ(SCOT)欠損症11スクシニル—CoA:3—ケト酸CoAトランス

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