新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
61/99

1) 青木菊麿:新生児マススクリーニングで発見された疾患の追跡調査.小児内科1991;23:1887■1891.2) Kalaydjieva L, et al.:A Founder Mutation in the GK1Gene Is Responsible for Galactokinase Deficiency inRoma(Gypsies). Am J Hum Genetics 1999;65:1299■期から白内障をきたす症例も散見されるが4),不可逆的変化を起こす前であれば,乳糖除去によって改善する可能性がある4).ほかには発達障害, 一部の症例で肝逸脱酵素の上昇などが報告されているが6),通常は,一般検査では特記すべき所1 血中ガラクトース上昇⊘血中ガラクトース⊖1⊖リン酸検出なし,または低値 血中ガラクトースが少なくとも20 mg/dL以上に上昇し,血中ガラクトース■1■リン酸はほとんど検出されないパターンが典型的であるが,新生児期には血中ガラクトース■1■リン酸が検出されている例も報告されている6).血中ガラクトースが著増して血中ガラクトース■1■リン酸が低値であればガラクトース血症Ⅱ型と考えられてきたが,ガラクトース血症Ⅳ型でも同様の所見を呈するため,必ずしも血中ガラクトースおよびガラクトース■1■リン酸だけで確定診断できない7).なお,新生児マススクリーニング(NBS)でガラクトース値の測定に最も広く用いられている酵素法では総ガラクトース(アルカリホスファターゼによる脱リン酸反応でガラクトース■1■リン酸をガラクトースに変換した後にガラクトース値を ガラクトース血症Ⅰ型,Ⅲ型,Ⅳ型に加え,以下の疾患も血中ガラクトースが上昇するが,これらは血中ガラクトース■1■リン酸も検出されるのが一般的である.・ シトリン欠損症や胆道閉鎖症などの胆汁うっ滞① 血中ガラクトースが高値である肝逸脱酵素上昇,特発性頭蓋内圧亢進症などとの関連も指摘されている5,6).見はない.測定したもの)を測定しているが,これはガラクトース■1■リン酸を算出するための便宜的なものであり,ガラクトース値とガラクトース■1■リン酸値の和は総ガラクトース値と一致しない注意が必要である.2 赤血球ガラクトキナーゼ(GALK) 遺伝子解析と同様に疾患特異的な検査である8).2021年現在,保険収載されておらず,また国内での実施は困難である.3 GALK1遺伝子解析による両アレル 確定診断に重要な疾患特異的な検査である8).2021年現在は保険収載されていないため,研究的検査として行われている.性疾患・ 門脈体循環シャント・ Fanconi■Bickel症候群詳細は「新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019」を参照のこと9).② 血中ガラクトース■1■リン酸が低値または検出しない③ GALK活性の低下を示す(2021年現在は国内での実施はむずかしい)④ ■■■■■遺伝子に両アレル性の病的バリアント 重症度分類は存在しない. ガラクトース血症の各病型および門脈体循環シャントなどの他疾患の鑑別が重要である.また,診断が未確定であってもガラクトースが高値であれば,不可逆的な白内障の発症を防ぐため, 急性発作はきたさないと考えられている. 血中ガラクトース値と眼科診察所見を参考にしながら,乳糖制限を継続する.乳製品の摂取は生涯避けることが望ましい.乳製品以外の乳糖を含む食品に関しては,白内障を発症しておらず,血 定期的に血液検査を行い,血中ガラクトースの上昇がないことを確認する.血中ガラクトース値は1 mg/dL以下を目標とする. 成人期以降も,乳製品の摂取制限を継続し,白内障の発症に注意する.を同定する(2021年現在は保険収載されておらず,研究的検査のみとなっている)①と②を満たし,かつ③または④のいずれかを満たす場合を確定診断例とする.早急に乳糖制限を開始する.ガラクトース除去ミルクは,市販の乳糖除去ミルクが使用可能であり,確定診断後は特殊ミルク事務局に供給を依頼する.中ガラクトースのコントロールが良好な例では,制限解除を検討する6). 内服薬の賦形剤として用いる乳糖は禁止する.マイルストーンでは,発達検査などで評価する.少なくとも年1回は眼科を受診し,白内障の有無を確認する.13-2 ガラクトース血症Ⅱ型―ガラクトキナーゼ(GALK)欠損症23文献活性低下性病的バリアントの検出参考となる検査所見診断の根拠となる特殊検査鑑別診断診断基準重症度分類新生児マススクリーニングで疑われた場合急性発作で発症した場合の診療慢性期の管理フォローアップ指針成人期の課題

元のページ  ../index.html#61

このブックを見る