新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
64/99

3) Banford S, et al.:The structural and molecular biology of 一般検査では特記すべき所見は報告されていな1 血中ガラクトース上昇⊘血中ガラクトース⊖1⊖リン酸検出なし,または低値 ガラクトース上昇の程度は,ガラクトース血症Ⅱ型よりも軽度である1).生後半年頃まではガラクトース■1■リン酸が検出されることが多いが,生後半年以降はガラクトース■1■リン酸は検出されても極めて低値であることがほとんどである.ガラクトースおよびガラクトース■1■リン酸の結果だけではガラクトース血症Ⅱ型と鑑別できない.・ ガラクトース血症Ⅰ型,Ⅱ型,Ⅲ型・ シトリン欠損症や胆道閉鎖症などの胆汁うっ滞性疾患・ 門脈体循環シャント① 血中ガラクトースが高値である② 血中ガラクトース■1■リン酸が検出されない,または低値である③ GALM活性の低下を示す(2021年現在は国内での実施はむずかしい) 重症度分類は存在しない.い.2 ガラクトースムタロターゼ(GALM) 患者においてリンパ芽球でのGALM活性低下が報告されている1).遺伝子解析と同様に,疾患特異的な検査であるが,保険収載されておらず実施は困難である.3 GALM遺伝子解析による両アレル性 確定診断に重要な疾患特異的な検査であるが,保険収載されていない.2021年現在は研究的検査として行われている.・ Fanconi■Bickel症候群詳細はガラクトース血症Ⅱ型の同項目を参考のこと.④ ■■■■遺伝子に両アレル性の病的バリアントを同定する(2021年現在は保険収載されておらず,研究的検査のみとなっている)①と②を満たし,かつ③または④のいずれかを満たす場合を確定診断例とする. ガラクトース血症の各病型および,門脈体循環シャントなどの他疾患の鑑別が重要である.門脈体循環シャントと合併していたと推測される症例も存在しているため1),血中ガラクトース値の上昇が遷延する場合は鑑別疾患にあげる必要がある.ガラクトースが高値であれば,不可逆的な白 急性発作はきたさないと考えられている. 血中ガラクトース値と眼科診察所見を参考にしながら,乳糖制限を継続する.内服薬の賦形剤として用いる乳糖は禁止する. 定期的に血液検査を行い,血中ガラクトースの上昇がないことを確認する.ガラクトース血症Ⅱ型に準じて,血中ガラクトース値は1 mg/dL以下を目標とする. 成人期以降も,乳製品の摂取制限を継続し,白内障の発症に注意する.2) Timson DJ:Type Ⅳ galactosemia. Genet Med 2019;4) Iwasawa S, et al.:The prevalence of GALM mutationsthat cause galactosemia:A database of functionallyevaluated variants. Mol Genet Metab 2019;126:362■367.内障の発症を防ぐため早急に乳糖制限を開始する.ガラクトース除去ミルクは市販の乳糖除去ミルクが使用可能であり,確定診断後は特殊ミルク事務局に供給を申請する. 詳細はガラクトース血症Ⅱ型の欄を参考のこと. 乳製品以外の乳糖を含む食品に関しては,白内障を発症しておらず,血中ガラクトースのコントロールが良好な例では,制限解除を検討する.マイルストーンでは,発達検査などで評価する.少なくとも年1回は眼科を受診し,白内障の有無を確認する.1) Wada Y, et al.:Biallelic GALM pathogenic variantscause a novel type of galactosemia. Genet Med 2019;21:1286■1294.21:1283■1285.type Ⅳ galactosemia. Biochimie 2020;183:13■17.13-3 ガラクトース血症Ⅳ型―ガラクトースムタロターゼ(GALM)欠損症23文献活性低下病的バリアントの検出参考となる検査所見診断の根拠となる特殊検査鑑別診断診断基準重症度分類新生児マススクリーニングで疑われた場合急性発作で発症した場合の診療慢性期の管理フォローアップ指針成人期の課題

元のページ  ../index.html#64

このブックを見る