新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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門b)❷ 血中サクシニルアセトン測定**a)https://www.med.shimane-u.ac.jp/hospital/nanbyou/checkup/tandem-ms.htmlb)http://www.med.u-fukui.ac.jp/SHOUNI/PedLab/welcomePedLab.htmlん,ディスレクシア,学習障害(LD),行動障害,精神遅滞,自閉スペクトラム症(ASD),注意欠如・多動症(ADHD)などの精神神経症状が認められる.精神神経症状の病因は,高チロシン血症2型と同じように,体液中のチロシンや4■ヒドロキシフェニルピルビン酸などのチロシン代謝産物の増加が症状の悪化に関係していると考えられているが,はっきりとは理解されていない. 高チロシン血症3型は,ADHDを起こす先天代謝異常症とは考えられていないが,メチルフェニデートのような向精神薬に反応しないADHDでは,高チロシン血症3型を鑑別する必要がある23).変などを認める.・ 肝生検:著明な肝構築の乱れ,様々な異常形態を呈する肝細胞,脂肪肝など.2 高チロシン血症2型・ 血漿アミノ酸分析:チロシン(特にチロシン>1,000μmol/L)の高度上昇24).3 高チロシン血症3型・ 血漿アミノ酸分析:チロシン(特に500〜1,000μmol/L)の中等度上昇23). 尿中サクシニルアセトンは,下記の施設で測定可能であるが,検査に出す際は申請方法が施設によって異なるため相談する必要がある.・ 島根大学医学部附属病院 難病総合治療センターa)・ 福井大学医学部附属病院 小児科代謝検査部血中サクシニルアセトン>10 nmol/mLをカットオフ値とする.血中サクシニルアセトンは,福井大学医学部附属病院小児科代謝検査部門で測定可能である.❸ 遺伝子解析**■■■遺伝子の両アレルに病原性変異を同定する(公益財団法人かずさDNA研究所かずさ遺伝子検査室の非保険検査として解析可能).❹ 酵素診断肝細胞,培養皮膚線維芽細胞を検体として,FAH活性を測定する(2020年現在,日本で実施している施設はない).2 高チロシン血症2型❶ 尿中有機酸分析*チロシン代謝産物(4■ヒドロキシフェニルピルビン酸,4■ヒドロキシフェニル乳酸,4■ヒドロキシフェニル酢酸など)の増加.❷ 遺伝子解析**■■■遺伝子の両アレルに病原性変異を同定す1 先天代謝異常症:高チロシン血症1型,2型,3型,ホーキンシン尿症ホーキンシン尿症は,高チロシン血症3型と同じ■■■遺伝子のヘテロ接合体変異により生じ,一過性代謝性アシドーシスとチロジン血症が特徴である.症状は,生後1年内に改善することが多1 臨床症状・家族歴① 低血糖,嘔吐,出血などの肝不全に関連する臨床症状(高チロシン血症1型)② けいれん,精神遅滞など非特異的な臨床症状(高チロシン血症2型と3型)③家族内の高チロシン血症の存在2 高チロシン血症(1型,2型,3型)45ペス性角膜炎に似ているため,抗ウイルス薬使用にて改善しない角膜炎は,高チロシン血症2型を鑑別する必要がある. 皮膚症状は眼症状よりも遅く出現し,■痛を伴う角質の増殖とびらんが特徴的であり,手掌・足底に限局する.血中チロシン値が高い症例では,精神遅滞を認めることが多い.早期に血漿チロシン値を200〜400μmol/L(200〜500μmol/Lとの報告あり)にコントロールして管理できれば,正常発達を遂げることも可能である.❸ 高チロシン血症3型高チロシン血症1型や2型に比べて,症状が軽度であり,無症状の症例もある22).失調,けいれ1 高チロシン血症1型・ 肝障害:血清トランスアミナーゼの上昇,凝固因子の合成低下による凝固能異常.・ 腎尿細管機能障害:低リン酸血症,糖尿,蛋白尿.血清AFPの著明な増加.・ 血漿アミノ酸分析:チロシン(>200μmol/L),メチオニン,セリン,スレオニンなどの上昇.・ 尿中アミノ酸分析:チロシン,5■アミノレブリン酸の排泄増加.・ 画像診断:腹部超音波検査(エコー),腹部CT,腹部MRIにて肝腫大,肝硬変や脂肪肝,結節病1 高チロシン血症1型❶ 尿中有機酸分析*① チロシン代謝産物(4■ヒドロキシフェニルピルビン酸,4■ヒドロキシフェニル乳酸,4■ヒドロキシフェニル酢酸など)の増加.② サクシニルアセトンの増加.る.❸ 酵素診断肝細胞を検体として,細胞質分画のチロシンアミノ基転移酵素を測定する(チロシンアミノ基転移酵素には,細胞質分画とミトコンドリア分画がある.高チロシン血症2型では,細胞質分画のチロシンアミノ基転移酵素のみが欠損している.2020年現在,日本で実施している施設はない).3 高チロシン血症3型❶ 尿中有機酸分析*チロシン代謝産物(4■ヒドロキシフェニルピルビン酸,4■ヒドロキシフェニル乳酸,4■ヒドロキシフェニル酢酸など)の増加.❷ 遺伝子解析**■■■遺伝子の両アレルに病原性変異を同定する.❸ 酵素診断肝細胞を検体として,HPDを測定する(2020年現在,日本で実施している施設はない).く,生涯尿にhawkinsin代謝産物排泄を持続する.2 その他 肝硬変,劇症肝炎,糖尿病,新生児一過性高チロシン血症などを鑑別診断にあげ(表2■1),図2■2の高チロシン血症の診断のフローチャートを参考に診断を行う.④ 乳児期・幼児期における肝不全,肝硬変または肝癌(高チロシン血症1型)2 検査データ① 血漿チロシン値>200μmol/L(高チロシン血症1型,2型,3型)25)高チロシン血症2型では,血漿チロシン>1,000参考となる検査所見診断の根拠となる特殊検査鑑別診断診断基準

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