新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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図14■13図14■10Menkes病患者のMRI脳萎縮がみられる.図14■12頭部MRA大脳動脈の蛇行を認める.a:頭部MRA:a⊖1,a⊖2で脳血管の蛇行がみられる.b:膀胱造影.b⊖1:膀胱憩室と膀胱尿管逆流症を認める.b⊖2:巨大な膀胱憩室を認める.c:膝関節周辺の単純X線撮影.c⊖1:骨幹端のsplayingを認める.c⊖2:骨幹端縁の骨折,矢印は骨折の痕.左は生後8か月の診断時,右は診断時からヒスチジン銅で治療している2歳時の所見,ヒスチジン銅の治療を行っていても病状は進行している.acbd89図14■11Menkes病(5か月)a:頭部CT…側頭葉のlow densityを認める.b,c,dは頭部MRI.b:T2強調画像…側頭葉のhigh intensity.c:FLAIR法…側頭葉のlow intensity.d:FLAIR法…左側に硬膜下血腫を認める.左被殻にlow intensityを認める.梗塞と考えられる.側頭部の所見はMERS患者にみられるような卒中様所見(虚血性変化)で,この所見は一過性であった.ミンは成人に比べて低値である.したがって,新生児期にはこれらの値で評価することがしばしば困難である.新生児期で判断できない場合は,1週間ごとくらいに血清銅とセルロプラスミンを再検する.正常では上昇傾向を示すが,本症患児では低下傾向を示す5,6,23,25).2 カテコールアミン代謝物質 銅欠乏により,銅酵素の一つであるdopamine β■hydroxylase(DBH)活性が低下する.その結果,カテコールアミン代謝(図14■8)が障害され,血漿中ドパミン/ノルアドレナリン,3,4■ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)/3,4■ジヒドロキシフェニルグリコール(DHPG)や尿中ホモバニリン酸(HVA)/バニリルマンデル酸(VMA)の上昇を認める32■35)(図14■8).この病態を基に,以下のcut off値が診断のめやすとして提唱されている.・血漿中DOPAC/DHPG>5.0・血漿中ドパミン/ノルアドレナリン>0.2・尿中HVA/VMA>4.0a)かずさDNA研究所:https://www.kazusa.or.jp/3 尿細管障害 腎臓には,銅が蓄積している36).銅は腎臓の近位尿細管に著明に蓄積している32).その結果,近位尿細管障害の指標であるβ2■ミクログロブリンやN■アセチルグルコサミニダーゼ(NAG)の尿中排泄の著明増加や軽度の蛋白尿が出現する36).しかし,腎機能不全というほど重症ではない.4 画像検査① 頭部CT,MRI:生後2か月以降に,脳萎縮,硬膜下血腫,白質変化がみられる(図14■9,14■10)37).② 2か月以内でもみられる.側頭葉を中心とした一過性の囊胞様変化を生じる場合もある38)(図14■11).③ 頭部MRA(図14■12,14■13):結合織異常に伴う脳動脈の著しい蛇行を認める.発症時期や程度は患児により異なる37,38).④ 膀胱超音波・膀胱造影(図14■13):多くの症例で,結合織異常に伴う膀胱憩室を認める.発・■■■■■遺伝子異常を同定する▶ 同定されれば確定診断できる.しかし,非常症の時期や程度は患児により異なる34).⑤ 骨粗鬆症,骨折(図14■13):結合織異常の所見として,骨粗鬆症が発症し,骨折を合併する25,29).にまれに変異が同定されない本症患者がいる.■■■■■遺伝子診断は,現在,保険診療14 Menkes病 Menkes病患者の結合織異常による所見(頭部血管蛇行,膀胱憩室,骨粗鬆症)a-1b-1c-1a-2b-2c-2確定診断法

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