新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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図15■10図15■9オクシピタル・ホーン症候群頭部側面X腺矢頭(▶):角様突起がみられる. オクシピタル・ホーン症候群の頭部MRA5⊘7 (71%)2⊘6 (33%)7⊘11(64%)3⊘4 (75%)13⊘15(87%)6⊘13(46%)5⊘13(38%)5⊘11(45%)14⊘19(74%)7⊘10(70%)表15■2オクシピタル・ホーン症候群の臨床症状とその頻度❶ 頭部単純側面X線❹ 膀胱憩室1 生化学検査 血清銅値は正常下限〜低下(23〜80μg/dL),血清セルロプラスミン値も9〜30 mg/dLとやや低下〜低下まで,様々である. 一般生化学検査での肝機能,血算,腎機能,電解質,乳酸,ピルビン酸などに異常がない.2 画像検査 本症患者と診断された場合や疑わしい場合は,下記の画像検査を行い,本症の症状の有無を調べる.a)かずさDNA研究所:https://www.kazusa.or.jp/後頭骨に角様突出(occipital horn)が認められる(図15■9).本所見が本症病名の由来である16).しかし,年少児ではみられないことがあり,年長になると出現する.❷ 頭部MRI⊘MRS血管蛇行が認められる(図15■10).しかし,年少児や症状が軽度の本症患者では,血管蛇行が 男子で,筋力低下,皮膚過伸展,関節過伸展があれば本症を疑い,血清銅,セルロプラスミンの測定,頭部側面X線撮影を行う.血清銅,セルロプラスミンが低値で,後頭骨に角様所見があれば,診断できる.上記検査所見がみられない患者でも,本症が疑わしければ,■■■■■の遺伝子解析または培養皮膚線維芽細胞の銅濃度測定を行う.確定診断には,■■■■■遺伝子変異の同定,または皮膚線維芽細胞の銅濃度高値を証明する. 先天性結合織疾患であるEhlers■Danlos症候群は現在13の病型に分類されているが,いずれも皮膚・関節の過伸展を特徴としており,鑑別するべ 教科書的には本疾患の重症度分類は示されていない.筋力低下,皮膚・関節の過伸展,血管異常などの結合織異常は,Ehlers■Danlos症候群と類似する.Ehlers■Danlos症候群は指定難病(168)で診断基準・重症度分類が示されている31).Ehlers■Danlos症候群の重症度分類を参考に判断 新生児マススクリーニング(NBS)対象疾患で症状頭部顔面 面長な顔 大きな耳 たるんだ⊘膨れた頰 頭髪異常 捻転毛結合織 皮膚弛緩 鼠経ヘルニア 臍ヘルニア骨関節 後頭骨角様変化 頭骨⊘脛骨 外骨腫ハンマー型の鎖骨長管骨の彎曲骨幹中部の拡大腸骨翼が丸くなる外反股外反膝骨幹端部の突起側彎胸部変形脱臼大関節の拘縮関節の過弛緩骨折25⊘27(93%)15⊘24(63%)1⊘22(5%)25⊘26(96%)6⊘16⊘(38%)9⊘19(47%)4⊘17(23%)2⊘17(11%)3⊘17(18%)6⊘16(38%)6⊘17(35%)2⊘16(13%)8⊘21(38%)13⊘23(57%)12⊘20(60%)3⊘19(16%)16⊘26(62%)2⊘21(10%)症例数(割合)症状神経系 知的障害 けいれん発作 筋力低下 卒中心血管系 動脈瘤 大静脈の拡張 頭蓋内血管の蛇行 頭蓋外血管の蛇行 自律神経失調泌尿器生殖器系 膀胱憩室 腎の異常 尿路感染症 膀胱尿管逆流症血液検査異常 血清銅低値20⊘28(71%) 血清セルロプラスミン低値20⊘27(74%)血管の蛇行が著明である.17⊘33(52%)5⊘25(20%)10⊘25(40%)1⊘23(4%)25⊘30(83%)6⊘20(30%)17⊘23(74%)7⊘23(30%)症例数(割合)15 オクシピタル・ホーン症候群67認められないことがある.脳萎縮はほとんど認められない患者が多い27).❸ 骨密度骨粗鬆症,短長で幅の広い鎖骨が認められる.腹部超音波で膀胱憩室の有無を確認する,膀胱憩室がある場合は,尿路感染を繰り返すことが多い. 女子で同様の症状があれば,まず染色体を調べて,X染色体の異常の有無を確認する.たとえば,Turner症候群でX染色体に■■■■■の異常があれば,本症を発症することもある. ■■■■■遺伝子診断は現在保険診療で分析可能で,かずさDNA研究所で分析しているa). 培養皮膚線維芽細胞の銅濃度は著明に高い.病態を反映した最も信頼性が高い確定診断法であるが,現在,わが国で分析している施設はない.き疾患である30).本症では,血清銅・セルロプラスミンが低値である.するのがよいと思われる.すなわち,生命にかかわる合併症を有する場合,著しい生活の質(QOL)・日常生活動作(ADL)の低下を伴う深刻な合併症を有する場合,濃厚な治療・管理を必要とするため,一般医は重症と判定するのが妥当である.はない.臨床検査確定診断法鑑別診断重症度分類新生児マススクリーニング(NBS)で疑われた場合

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