新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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3⊖oxo⊖Δ4 bile acidsコレスタノール3β⊖hydroxy⊖5⊖cholen 24 oic acids表17■1先天性胆汁酸代謝異常症疾患名―――――――責任遺伝子HSD3B7SRD5B1CYP27A1CYP7B1CYP7A1a)https://www.circle-registry.org/ 先天性胆汁酸代謝異常症とは,一次胆汁酸であるコール酸とケノデオキシコール酸の合成経路を担う各酵素の先天的な機能異常により,胆汁酸合成経路の中間代謝産物である異常胆汁酸もしくは胆汁アルコールの肝細胞内蓄積が引き起こされた結果,胆汁うっ滞性肝障害を引き起こす疾患である. 新生児・乳児早期に胆汁うっ滞性肝障害型から診断される「新生児胆汁うっ滞型」と,幼児期以降に原因不明の慢性肝疾患・肝硬変から診断される「慢性肝疾患型」の2つの病型がある. 症状は,典型的には直接ビリルビン優位の黄疸,肝腫大,灰白色便(無胆汁便)などを認め,進行すれば肝硬変,肝不全へ移行する.現在,表17■1の通り,8種類の酵素に起因した疾患が確認されている. 診断のための特殊検査としては,各疾患に特徴的な異常胆汁酸もしくは胆汁アルコールを検出し,疑われる疾患の遺伝子検査を行うことで確定診断を行う. 国内ではこれまで診断された疾患としては,3β■hydroxyΔ5■C27■steroid dehydrogenase/isomerase欠損症,Δ4■3■oxosteroid 5β■reductase欠損症,oxysterol 7 a■hydroxylase欠損症の3疾患に加えて,最近ではbile acid■CoA aminoacid N■acyltransferase欠損症の報告がある.これまで計15例ほどの症例が見つかっているが,乾燥濾紙尿を用いた新生児マススクリーニング(NBS)の試みや,小児期発症の胆汁うっ滞性肝障害多施設前向きレジストリ研究(CIRCLe)a)も進められており,今後はさらに症例数が増えていくことが見込まれる. 世界的には3β■hydroxyΔ5■C27■steroid dehy-drogenase/isomerase欠損症が最も頻度が高い.ちなみにsterol 27α■hydroxylase欠損症は,乳児期では胆汁うっ滞症で発症するが,成人ではおもに神経症状で発症することが多く,これは脳腱黄色腫症という疾患として扱われており,60例ほどの報告がある.1 代謝経路 胆汁酸は肝臓内でコレステロールから18種類13β⊖hydroxyΔ5⊖C27⊖steroid dehydrogenase⊘isomerase欠損症3β⊖hydroxyΔ5 bile acids2Δ4⊖3⊖oxosteroid 5β⊖reductase欠損症3sterol 27α⊖hydroxylase欠損症(脳腱黄色腫症)4oxysterol 7α⊖hydroxylase欠損症5bile acid⊖CoA:aminoacid N⊖acyltransferase欠損症6bile acid⊖CoA ligase欠損症72⊖methylacyl CoA racemase欠損症8cholesterol 7α⊖hydroxylase欠損症5~8の4疾患は抱合不全型である.蓄積する代謝産物1疾患概要17先天性胆汁酸代謝異常症

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