新生児マススクリーニングガイド対象疾患等診療ガイドライン
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++-+++-+強??45図19■3グルコーストランスポーター1型(GLUT1)欠損症の確定診断と治療のアルゴリズムGLUT1:グルコーストランスポーター1型,MLPA:multiplex ligation⊖dependent probe amplification,PCR:ポリメラーゼ連鎖反応,SNP:一塩基多型(Klepper J:GLUT1 deficiency syndrome in clinical practice. Epilepsy Res 2012;100:272⊖277⊘Gras D, et al.:GLUT1 defi-ciency syndrome:an update. Rev Neurol(Paris)2014;170:91⊖99を基に作成)??成人期弱ケトーシスされている.また,自覚的不調を改善するために糖質を過剰摂取し,肥満や脂肪肝に至る症例もある.50.5 mg/dL(髄液糖/血糖比0.19〜0.59)の範囲で本症と診断されており,軽症例では41〜52 mg/dLとなることもある.② 髄液乳酸値正常〜低下:髄液乳酸値は正常上限16 mg/dL(1.8 mmol/L)未満である.髄液乳酸値が高値の場合,中枢神経系の嫌気的解糖系が亢進していることを意味し,本症は否定的となる.③ 髄液細胞数正常,髄液蛋白値正常2 脳波検査*背景脳波の徐波化がみられる.てんかん波を認めないことも多いが,初期は焦点性徐波化や棘徐波を,そして成長とともに2.5〜4 Hzの全般性棘徐波が現れる.脳波異常は食事やグルコース静注で改善する.1 遺伝子解析** 大多数に■■■■■■遺伝子(1p34.2)におけるヘテロ接合性の■■■■■■■変異,重症例では微細欠失を認め,ハプロ不全が発症に関与する.患者の81〜89%はシーケンス解析,11〜19%は欠失/重複解析で同定される.10〜20%では遺伝子変異が同定されない.孤発症例が多いが,家族例の報告も散見される. 2020年4月より■■■■■■遺伝子検査は保険適用となった.2 赤血球取り込み試験*** GLUT1は血液脳関門の血管内皮細胞と赤血球に存在し,RIで標識した3■■■メチル■■■グル 髄液糖低値を呈する疾患(低血糖性疾患,髄膜炎,くも膜下出血,けいれん重積症,寄生虫症など)との鑑別はむずかしくない.シャントバルブ穿刺による髄液採取でも髄液糖値が低下していることがある. 家族例では,常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式のてんかんに関与する他の遺伝子異常症も考慮される.非てんかん性発作は,チャネロパチーの主症状でもあるので,鑑別が必要である.呼吸鎖3 頭部MRI検査* ほとんどの症例で正常であるが,大脳萎縮,髄■化遅延,皮質下白質の散在性高信号など非特異的な所見を呈することもある.4 脳18FDG⊖PET所見*** 小脳,大脳皮質の糖代謝低下,内側側頭葉領域や視床におけるさらに強い糖代謝低下と,線条体,特に尾状核における相対的糖代謝亢進がみられる.コース(3■OMG)の取り込み試験によって中枢神経系へのグルコース輸送活性をみることができる. 髄液糖低値や遺伝子変異がない場合に研究目的で検討されることもあるが,繁雑な検査であり診断に必須ではない.内皮細胞や赤血球におけるGLUT1による細胞内から細胞外へのグルコース放出は低下しているが,細胞外から細胞内への取り込みは正常であるため,3■OMG取り込み試験では正常となる,まれな変異も報告されている17).3 フローサイトメトリー解析*** 循環赤血球表面に存在するGLUT1抗原発現量の測定が診断的価値をもつことが報告されている(現状,研究段階で未確立)18).異常症,ピルビン酸デヒドロゲナーゼ欠損症,メープルシロップ尿症のような中間代謝異常症では,てんかん発作または発作性運動異常症が絶食により起こりうる. 全国実態調査では,確定診断前に,てんかん,脊髄小脳変性症,痙性対麻痺(複合型),脳性麻痺,ミトコンドリア病,原因不明の神経変性疾患,周期性嘔吐症,小児交互性片麻痺などと診断されていた.19 グルコーストランスポーター1(GLUT1)欠損症して,食事,安静,休息・睡眠により改善する.❹ 非神経症状溶血性貧血を伴う症例が数例,重度の成長ホルモン欠乏による成長不全を伴う症例が1例,報告1 髄液検査*① 髄液糖値低下:血糖値が正常であるにもかかわらず,髄液糖値は40 mg/dL(2.2 mmoL/L)未満,髄液糖/血糖比は0.45未満(平均0.35)であることが,古典型GLUT1欠損症の診断への手がかりとなる.実際には,髄液糖値が16.2〜GLUT1欠損症を疑う疑診例GLUT1欠損症と診断準確定診断例確定診断例ケトン食(KD)療法古典的ケトン食4:1古典的ケトン食3:1修正 Atkins食低グリセミック指数食髄液検査髄膜炎を否定(髄液細胞数,蛋白値正常)髄液糖値 低下髄液乳酸値 正常~低下SLC2A1遺伝子解析PCR:病原性変異MLPA/SNP:欠失,重複赤血球3-O-メチル-D-グルコース取込試験の低下(研究目的のみ)乳幼児期就学前絶食の4~6時間後に施行血糖測定は髄液検査の直前に実施学童期髄液乳酸値 上昇GLUT1欠損症は否定思春期参考となる検査所見3■5,7)(図19■3)4,5)診断の根拠となる特殊検査3■7)(図19■3)4,5)鑑別診断3■5,15)

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