日本先天代謝異常学会雑誌

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ISSN:0912-0122

2021 Vol.37 No.1
JJIMD2020-001-2
ビタミンB1とケトンフォーミュラを早期導入したPDHC欠損症の新生児男児例
▼著者名
山口 智之1) 2)、小野 未希2)、福島 直喜2)、内藤 悦雄3)、井原 健二1)
▼所属
1) 大分大学医学部小児科学講座
2) 大分市医師会立アルメイダ病院小児科・新生児内科
3) 徳島赤十字ひのみね総合療育センター小児科
▼要旨
症例は36週2日、体重2318gで出生した男児。出生時より筋緊張の低下と高乳酸血症と代謝性アシドーシスが持続し、意識障害、無呼吸発作、哺乳不全を認めた。炭酸水素ナトリウム投与を開始し全身状態が安定した後も高乳酸血症は持続した。髄液乳酸は105.2mg/dl、髄液乳酸/ピルビン酸比は10.0(<20)、血液乳酸/ピルビン酸比は11.1(<20)、血液アラニンは984.3mmol/l(208-522)だった。ピルビン酸脱水素酵素複合体(PDHC)欠損症を疑い日齢30に遺伝子検査を提出し、また同日よりビタミンB1(Vit.B1)の内服を開始し翌日よりケトンフォーミュラと母乳(人工乳)栄養に変更したところ哺乳力が急速に改善し日齢35には乳酸値もほぼ正常化し日齢37に退院した。その後、PDHCのE1α サブユニット遺伝子にc.379C>T(p.R127W)が判明しPDHC欠損症と診断した。重症型の変異陽性の男児例であったが遺伝子診断の判明する前からVit.B1とケトンフォーミュラの併用療法により高乳酸血症と臨床症状は著明に改善した。この症例から、出生後よりL/P比が正常な高乳酸血症が持続した場合は、PDHC欠損症を念頭に置いた遺伝子診断とVit.B1とケトンフォーミュラ療法の早期導入の有用性が示唆された。
JJIMD2020-002-3
地域の基盤を活用したZellweger症候群の患児における在宅緩和ケア
▼著者名
大塚 ゆかり1)、松本 志郎4)、黒澤 茶々1)、谷田 理一郎2)、小田原 美和3)、城戸 淳4)、田仲 健一5)、坂本 理恵子1)、三渕 浩5)、中村 公俊4)
▼所属
1) 熊本大学病院小児科学講座
2) 医療法人谷田会 谷田病院
3) 医療法人愛生会 訪問看護ステーションきらり
4) 熊本大学生命科学研究部小児科学講座
5) 熊本大学病院新生児医学寄付講座
▼要旨
Zellweger症候群(ZS)は、Zellweger症候群スペクトラム(ZSS)の中で最も重症の疾患であり、常染色体劣性遺伝疾患である。重症型のZS患者は、特異顔貌、筋緊張低下を伴う重度の精神運動発達遅滞、肝機能障害および骨格欠損を示すことが多く、特に難治性痙攣はコントロールが難しく、在宅管理では困難が多い。我が国における小児緩和ケアは、まだ一般的に広がったとは言いにくいものの、次第にそのあり方が体系的に議論されるようになってきている。我々はZSの同胞例に対して緩和ケアを行った。1例目は、在宅での看取りではなく、病院での看取りを選択した。2例目の症例では、1例目の経験から、家族が地域のかかりつけ医の協力を得て、最期まで在宅で緩和ケアを継続し、看取りができた。家族に看取られての最期は、人の尊厳と家族の愛に包まれたものであり、時に笑顔が見られ、その後の家族の立ち直りにも大きく寄与した。家族の不安をできる限り取り除くことが重要であった。今回、我々の重症型のZellweger症候群に対する在宅緩和ケアの経験では、主として基幹病院を中心とした地域の協力基盤を活用することが重要であり、専門的な医療者、ソーシャルワーカー、訪問看護ステーション、在宅訪問診療医など地域サポートシステムの構築が重要なポイントであった。
JJIMD2021-001-3
成人期ファブリー病患者の日常生活の課題に関するインタビュー調査
▼著者名
古藤 雄大、山下 和香奈、波田野 希美、李 容子、國府 力、酒井 規夫
▼所属
大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
▼要旨
ファブリー病患者の疾患特異的QOL尺度を作成するための予備調査として、18歳以上のファブリー病患者を対象とした半構造化面接法によるインタビュー調査を実施した。22歳から73歳の12名のファブリー病患者に対して、ファブリー病が日常生活に与える影響についてたずねた。得られたデータは質的内容分析法を用いてコード化し、カテゴリーとテーマへの分類を行った。その結果、358個のコードが作成され、27個のカテゴリーと5つのテーマに分類された。テーマは【疾患症状に関連する問題】、【診断時期に関連する問題】、【治療に関連する問題】、【社会生活に関連する問題】および【家族関係に関連する問題】が抽出された。ファブリー病が希少疾患であるために、患者は症状による苦痛の他に、診断を受けることの難しさや、周囲からの理解を得ることの難しさについての悩みを抱えていた。また、身体機能の悪化や治療による制限が、日々の生活や仕事、家族関係に影響を与えており、生活全般にわたる情報提供や相談支援の重要性が示唆された。これらのインタビュー結果を基に、内容妥当性のある疾患特異的QOL尺度の作成を行うことが可能となる。
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